2011年7月25日月曜日

悪性皮膚がんに新免疫治療法

皮膚がん 新たな免疫療法 京大グループ開発

京都大大学院医学研究科の門脇則光准教授(血液・腫瘍内科学)らのグループは19日、皮膚がんの悪性黒色腫(メラノーマ)が進行した患者に対し、 がん細胞を攻撃するリンパ球の働きを活性化させる新たな免疫療法を開発したと発表した。今月から患者10人を対象に臨床研究を始め、安全性と有効性を検証 する。
グループによると、メラノーマは、副作用の強い抗がん剤などの化学療法以外に治療法が乏しい。
開発された治療法 は、免疫反応を高める「樹状細胞」がリンパ球を強く刺激するのが特徴。患者の血液を体外で培養して分化させた樹状細胞に、病原性のないメラノーマの細胞を 投与し、さらに免疫を増強する抗がん剤を併用してリンパ球の働きを強める。副作用が少なく、治療効果の長期持続が期待できるという。
門脇准教授は「効果が確認できれば、患者の生存期間の延長につながる」としている。
2011年7月20日 産経新聞

がんのリハビリの重要性

がん、手術前後のリハビリで早期回復 後遺症軽減

がんの手術などの前後でリハビリテーション(リハビリ)を導入する動きが本格化している。患者の合併症を防いで回復を早め、後遺症の軽減に効果があることがわかってきたからだ。患者にとっては昨年度から健康保険で受けられるようになったのも追い風となっている。ただ、がん治療のひとつとして定着するには、まだ試行錯誤の部分もあり、リハビリ方法の確立など取り組むべき課題も多い。

6月下旬、静岡がんセンター(静岡県長泉町)のリハビリ室で、4日前に肺がんの 手術を受けた高田和美さん(73)が透明な器具につながるチューブを口にくわえて格闘していた。「はい、吸って」。理学療法士のかけ声に合わせて高田さん が息を吸うと、器具の中の黄色い印が上まで上がる。高田さんは「訓練のおかげでベッドで寝ていてもたんを出しやすい」と話す。

入院期間短縮にも

使っていたのは、深い呼吸ができるよう訓練するリハビリ用器具。高田さんは手術前に使い方の説明を受け、自宅でも練習した。「手術前からリハビリの必要性を理解してもらうと、手術後のリハビリも進みやすい」と同センターリハビリテーション科の田沼明部長。

がんのリハビリの主な目的は、治療による後遺症の予防や、障害を起こした機能の回復。合併症を防ぐ効果もある。

例えば肺がん食道がんなどの手術後に寝たままだと、肺の奥にたんがたまり、放置すると細菌の温床になって肺炎などの合併症を起こしやすい。手術後は肺活量が落ち、傷の痛みなどでたんを出せない患者が多いが、事前にリハビリの意味を伝え、目的を持って訓練すると呼吸機能の回復とたんの排出を促せるという。

静岡がんセンターは2002年、日本で初めてがん治療専門のリハビリ科を設置した。肺がんのほか、胃がんなどの消化器がん、乳がんなどの婦人科がん、咽頭がん、骨のがんなどの患者が対象。呼吸機能の低下や食べ物をうまく飲み込めなくなる嚥下(えんげ)障害、歩行障害などを軽くしたり、早く回復させたりする狙いだ。同センターでは「入院と外来患者の15~20%ぐらいがリハビリを受けている」(田沼部長)。

効果も検証されてきた。食道がんの開胸手術で比べると、他の施設でリハビリをしなかった場合に合併症の肺炎を起こす患者の割合は約32%。 02~06年に同センターで同様の患者にリハビリを実施したところ肺炎の発生率は約9%に抑えられた。合併症にならなければ入院期間の短縮にもつながると いう。

がんのリハビリが重視される背景のひとつに、がんと“共存する人”の増加がある。高齢化などでがんになる人は増えているが、治療技術の進歩で死亡率は減 少傾向。手術や抗がん剤などの治療後も仕事に復帰したり、自宅で療養したりする人が03年の約300万人から、15年には2倍近い530万人を超えるとい われている。

治療で運動まひや機能障害などが起こると、その後のQOL(生活の質)の低下に直結する。がんのリハビリ専門のスタッフの育成を進める慶応義塾大学医学部の辻哲也講師は「患者はリハビリもがん治療の一環と考えるようになってきた」と話す。

米国より20年遅れ

昨年度の診療報酬の改定で、がんのリハビリが健康保険の対象になった影響も大きい。現在本格的に実施しているのは5、6カ所とされるが、全国に約400あるがん診療連携拠点病院のうち半分程度ががんのリハビリ科などの設置の準備・検討を始めているとみられる。

とはいえ、日本のがんのリハビリは米国より20年ほど遅れているといわれ、まだ課題も多い。

そのひとつが、どのような患者にどのようなリハビリを行うのが効果的かが確立されていないことだ。患者の多いがんの種類や治療法などは国によっても違い、歴史の浅い日本ではまだ手探りの部分もあり、病院によってもまちまちだ。

静岡がんセンターでもリハビリを行った患者は、04年ごろは外科の患者が多かったが、最近は呼吸器内科や消化器内科などの患者が増えている。「リハビリが必要な患者を的確に見つける体制づくりは急務だ」(田沼部長)という。

学会も治療法の標準化に乗り出した。日本リハビリテーション医学会でがんリハビリの診療ガイドラインを策定中で、今年度内には試案を公表する予定だ。策 定を進める慶応の辻講師は「リハビリの効果を示す国内の検証結果を増やし、内容の標準化を図ることががんリハビリの定着のカギを握る」と話している。

健保対象になったが…国の支援 不透明 削られる研修補助金

がん患者に対するリハビリは、07年6月に策定した国のがん対策推進基本計画で「積極的に取り組んでいく」と盛り込まれ、昨年度からは健康保険の対象になった。しかし、研修事業への国の補助金は減るなど、国の取り組みの方向性ははっきりしていない。

医療者などに研修事業などを行っているライフ・プランニング・センター(東京・港)は07年度からがんリハビリのセミナーを始めた。受講生は初年度は約 580人だったが、08年度は610人、09年度は710人、10年度は722人と増え、今年度は約1200人に急増する見込みだ。

このセミナーは厚生労働省の委託事業。だが補助金は09年度は1467万円、10年度は1321万円、今年度は1286万円と徐々に削られている。「今年度は研修費を値上げし、受講生に費用を負担してもらっている」(同センター)

がん対策の基本計画は、来年度からの5年間の新計画の見直し論議が正念場を迎えている。だが「がんのリハビリは現時点で検討するテーマに上がっていない」(厚労省)という状況。がんのリハビリを国がどう支援していくかは先行きが不透明だ。

2011年7月14日 日本経済新聞

2011年7月21日木曜日

がん幹細胞と免疫細胞の相互作用

北大など、マクロファージ発がん活性能を獲得することを発見

がん細胞の中でも悪性度の高い集団「がん幹細胞」が、悪性化、抗がん剤治療への抵抗性に関係しており、その活性にがん細胞周囲の正常細胞が関与することが注目されている。北海道大学(北大)などによる研究グループは、通常はがん細胞排除に働く免疫細胞マクロファージが、がん幹細胞の働きにより逆に発がん活性能を獲得することを同定したほか、マクロファージから「MFG-E8」と「IL-6」と呼ぶ因子の産生を誘導することで、がん幹細胞のさらなる活性化が惹起され、抗がん剤への治療抵抗に 繋がることを明らかにした。 同成果は、地主将久氏、千葉殖幹氏、吉山裕規氏(北大遺伝子病制御研究所・感染癌研究センター)、増富健吉氏(国立がん研究センター・癌幹細胞プロジェク ト)、木下一郎氏、秋田弘俊氏(北大医学研究科・腫瘍内科学)、八木田秀雄氏(順天堂大学・免疫学)、高岡晃教氏(北大遺伝子病制御研究所・分子生体防御 分野)、田原秀晃氏(東京大学医科学研究所・先端医療研究センター)らによるもので、米国アカデミー紀要(Proceedings National Academy of Sciences of United States of America)に掲載された。

正常幹細胞の代表格である造血幹細胞の維持、活性には骨、線維芽細胞など幹細胞の周囲を構成する細胞群との相互作用の重要性が指摘されていた。そこで研究グループは、がん細胞周囲に存在する正常細胞の機能に注目し、がん幹細胞と免疫細胞との相互作用についての検証を行った。

この結果、通常はがん細胞の排除に働くと考えられている免疫細胞の マクロファージが、がん幹細胞との相互作用を介して発がんを促進する機能を獲得することを発見した。その発がん活性に重要な役割を果たすのが、マクロ ファージから産生される「MFG-E8」と「IL-6」と呼ばれる分子で、これらはがん幹細胞に働くことで、その増殖活性や抗がん剤への抵抗能の誘導に重 要な役割を果たすことを同定した。

がん幹細胞を介した発がん促進マクロファージへの形質転換が発がん活性、治療抵抗性に関与するイメージ

今回の研究成果について研究グループは、がん幹細胞が本来腫瘍への拒絶能を有する免疫細胞機能を発がん促進の方向に転換することを明らかにしたことが、重要な意義を有すると考えられるとしている。

なお、研究グループでは、今後、がん幹細胞から特異的に産生され、免疫細胞の機能転換を引き起こす分子を同定し、その役割を検証することで、がん幹細胞と免疫細胞相互作用を標的とする新たなタイプの抗がん剤の開発が可能になると考えられるとしており、このタイプの抗がん剤は、既存の抗がん剤への感受性を高め再発予防につながる可能性を有するため、将来の制がんにおける有力な武器になる可能性があると指摘している。

2011年7月19日 マイコミジャーナル

2011年7月20日水曜日

がん免疫治療と免疫活性検査

血液を採取するだけで免疫の状態の良し悪しがわかる検査が、がん免疫治療を専門とするヨシダクリニック・東京(院長:赤出川賢治)でスタート

がん免疫治療を専門とするヨシダクリニック・東京(東京都中央区、院長:赤出川賢治)は、血液を採取するだけで免疫の状態の良し悪しがわかる「NK細胞活性検査」をこのほど開始しました。

<NK(ナチュラル・キラー)細胞とは>
NK細胞は、外部からヒトの体内に侵入してきた異物を迎撃し、健康状態を維持しようとする免疫細胞の一種。特にがん細胞については、健康な人でも毎日 5000個のがん細胞が体内では生まれているとされており、それを常にNK細胞が叩いていることで、がんが育たない状況を維持しています。NK細胞の活性度が低下すると、このバランスが崩れてしまい、体内でがんが育ち始めてしまう危険性が高まります。

<NK細胞活性検査とは>
定期的にNK細胞の活性度を調べ、いま自分の体ががんになりやすい状態なのか――を把握することで、がんの回避や早期発見に役立てることができます。「NK細胞活性検査」は、まさにそれを目的としたものです。
検査は血液の採取のみ。採血した5ミリ・リットルの血液はラボに送られ、その血液中に含まれるNK細胞の活性度が測定され、数値となって表されます。通 常、健康な人の場合は「18-40パーセント」の基準値内に納まるが、これを下回る、つまり17パーセント以下となった場合、その人のNK細胞の活性度は 低いと判断されます。免疫力が低い状態、つまり、がんや感染症のリスクが高いということになります。  検査費用は自由診療のため、全額自己負担で1回6,300円。

<赤出川賢治院長:コメント>
「この検査で基準値を外れたとしても、すぐにがんになるわけではありません。免疫力を高める生活習慣によって、免疫力を上向きに転じることは十分に可能です。要は、この検査からがん予防に注意を向けるきっかけとして役立ててほしい。」

免疫力を高める生活習慣とは、食生活を見直して栄養バランスを整えることや、適度な運動、喫煙者であればタバコを止めること、また当院が力を入れて取り組んでいる「積極的に笑うこと」もその一つ。」

「検査費用6,300円は、本来がん治療の中で行われる精度の高い検査であることを考えれば、決して高い金額ではない。年に一度でも、こうした検査によって“免疫力”に目を向けることが、がん予防を考えていく上で重要なこと。がんになってから考えるのではなく、なる前から意識してほしい。」

2011年7月19日 プレスリリース

転移性乳がんの新薬

エーザイ、乳がん薬を国内発売

エーザイは19日、乳がん治療薬を国内で発売したと発表した。製品名は「ハラヴェン」で、手術できない乳がんや再発乳がんの患者が投与の対象。自社の研究所で作り出した初めての抗がん剤で米国や英国、ドイツなどに続く発売となる。

今後は肺がんや前立腺がんなどにも使えるように臨床試験(治験)を進めて販売を増やし、2015年度までに世界で10億ドル(約800億円)の年間売上高を目指す。

同社が実施した治験では、ハラヴェン以外の治療を施した乳がん患者の生存期間は10.5カ月。これに対してハラヴェンを投与した患者の生存期間は13.2カ月だった。

手術できない乳がん再発乳がんは治療に使える薬剤が少なく、ハラヴェンは医師の選択肢を増やせる。

2011年7月19日 日本経済新聞


エーザイ、日本で抗悪性腫瘍剤「ハラヴェン」を発売

日本において抗悪性腫瘍剤「ハラヴェン(R)」を新発売

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、日本において「手術不能又は再発乳癌」を効能・効果とする、新規抗悪性腫瘍剤「ハラヴェン(R)静注1mg」(一般名:エリブリンメシル酸塩)を7月19日に新発売します。
本剤は、当社が自社創製・開発した初めての新規抗がん剤であり、2010年3月に日米欧3極同時申請し、2010年11月に米国での新発売を皮切りに、欧州においても2011年4月に英国、ドイツなどで販売を開始しています。

本剤は、前治療歴のある転移性乳がんの患者様において、単剤で統計学的に有意に全生存期間を延長した世界で初めてのがん化学療法剤です。海外で実施した前 治療歴のある進行又は再発乳がんを対象とした臨床第III相試験(EMBRACE試験)において、主治医選択治療群に比べて、2.7カ月間の全生存期間の 延長が認められました(全生存期間:13.2カ月 対 10.5カ月、ハザード比:0.81、p 値:0.014)。また、日本で実施した臨床第II相試 験において、「ハラヴェン(R)」単独療法は、アントラサイクリン系及びタキサン系抗がん剤を含む前治療歴を有する進行又は再発乳がん患者様に対し、良好 な抗腫瘍効果を示すとともに良好な忍容性プロファイルが認められました。

乳がんは依然として、女性のがんによる主な死亡原因の1つであ り、日本では毎年約6 万人の患者様が罹患されています。新しい抗がん剤の開発によりその治療法は年々進歩していますが、手術不能又は再発乳がんでは治療 の選択肢は決して十分とは言えません。このたび、日本における「ハラヴェン(R)」の新発売により、手術不能又は再発乳がんの患者様が本剤にアクセスする ことが可能となります。

今後当社は、「ハラヴェン(R)」を、グローバルにおいてより治療歴の少ない難治性再発性・転移性乳がん、乳が んアジュバント(術後補助療法)などの適応追加や、リポソーム製剤の開発による乳がん患者様への貢献を拡大していくとともに、非小細胞肺がん、肉腫、前立 腺がんなどの適応拡大に取り組んでまいります。また、卵巣がんをターゲットとしたモノクローナル抗体「MORAb-003 」( 一般 名:farletuzumab)、甲状腺がんや子宮内膜がんをターゲットとしたE7080(一般名:lenvatinib)などの開発により、 Women’s Oncology領域の製品の充実化をはかっていきます。

日本国内においては、全MRががん領域での活動に取り組み、がんと共に生きる女性とそのご家族の想いにより添い、QOL向上により一層貢献し、当社のヒューマン・ヘルスケア(hhc)ミッションを果たしてまいります。


以上

<参考資料>

1.製品概要
1)製品名
ハラヴェン(R)静注1mg
2)一般名
エリブリンメシル酸塩
3)効能・効果
手術不能又は再発乳癌
4)用法・用量
通常、成人には、エリブリンメシル酸塩として、1日1回1.4mg/m2(体表面積)を2~5分間かけて、週1回、静脈内投与する。これを2 週連続で行い、3週目は休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
5)薬価
ハラヴェン(R)静注1mg 2ml 1瓶 64,070円
6)包装
ハラヴェン(R)静注1mg(2.0ml):1バイアル

2.グローバル第III相臨床試験(EMBRACE試験)
EMBRACE試験は、多施設、無作為、非盲検、並行2群間比較試験で、ハラヴェン(R)投与群と主治医選択治療群との間で全生存期間を比較するようにデ ザインされました。本試験では、2種類から5種類のがん化学療法剤(アントラサイクリン系及びタキサン系抗がん剤を含む)による前治療歴のある、局所再発 性あるいは転移性乳がんの患者様762名が対象となり、ハラヴェン(R)投与群と主治医選択治療群に2:1の比率で割り付けられました。主治医選択治療群 は、がん治療が認可された単剤化学療法、ホルモン療法、生物学的薬剤治療、又は苦痛緩和治療、放射線治療と定義され、大多数(97%)の患者様は単剤化学 療法を受けました。本試験解析の結果、ハラヴェンR投与群は主治医選択治療群と比較し全生存期間を2.5カ月間延長しました(全生存期間:13.1カ月  対 10.6カ月、ハザード比:0.81、p値:0.041)。

また、当社は欧州と米国の審査当局からの依頼によりプロトコールの規定 に加えてEMBRACE試験の結果をアップデートしました。その最新の解析データは、ハラヴェン(R)投与群では主治医選択治療群に比べて2.7カ月間の 全生存期間の延長が認められました(全生存期間:13.2カ月 対 10.5カ月、ハザード比:0.81、p値:0.014)。このデータは2010年 12月のSan Antonio Breast Cancer Symposiumで発表され、ハラヴェン(R)の全生存期間を延長し、安全性プロファイ ルは変化がないことが再確認されました。
ハラヴェン(R)投与群で高頻度(頻度25%以上)に認められた有害事象は、無気力(疲労感)、好中球 減少、貧血、脱毛症、末梢神経障害(無感覚、手足等のしびれ)、吐き気、便秘でした。この中で、特に重篤な有害事象として報告されたのは好中球減少(発熱 を伴う症例が4%、発熱を伴わない症例が2%)であります。またハラヴェン(R)投与中止に至った主な有害事象は末梢神経障害(5%)でした。

3.日本で実施された第II相試験(221試験)について
221試験は、アントラサイクリン及びタキサン系抗がん剤による前治療歴のある進行・再発乳がんの患者様を対象とした、多施設共同による非盲検の試験で す。本試験では、奏効率21.3%(評価対象80例中、奏効例17例)と高い奏効を示すとともに良好な忍容性プロファイルを認めました。

4.「ハラヴェン(R)(欧米製品名:HALAVEN)」(エリブリンメシル酸塩)について
「ハラヴェン(R)」は、新規の作用機序を有する非タキサン系微小管ダイナミクス阻害剤です。海洋生物クロイソカイメン(Halichondria  okadai)から抽出されたハリコンドリン類の全合成類縁化合物であり、微小管の短縮(脱重合)には影響を与えずに伸長(重合)のみを阻害し、さらに チューブリン単量体を微小管形成に関与しない凝集体に変化させる作用を有しています。「ハラヴェン(R)」の合成はきわめて難度が高く、その全合成のス テップ数は62工程あります。また「ハラヴェン(R)」の分子量は826であり、不斉炭素19個を含むため、理論的に立体異性体の数は2の19乗個、すな わち524,000個の可能性があり、その制御が困難を極めます。しかし、当社の技術力によりそのすべての反応を立体選択的にコントロールして「ハラヴェ ン(R)」を商業的に合成することが可能になりました。
本剤は、2010年11月米国、2011年2月シンガポール、2011年3月欧州でそれ ぞれ承認を取得し、カナダにおいて申請中、アジア、ニューマーケットなど多くの国々における本剤の開発を進めています。また、より治療歴の少ない乳がん、 非小細胞肺がん、肉腫、前立腺がんなど、他のがん種についても単剤での後期臨床試験が進行中です。

5.乳がんについて
乳がん は、女性のがんによる死亡原因のトップであり、日本においても毎年約6万人の患者様が罹患されています。また、罹患率は30歳代から増加を始め、50 歳 前後にピークをむかえるという点で、切実な問題となっており、アンメットメディカルニーズ(未だ満たされていない医療上の必要性)の高い疾患であると言え ます。
近年、検診や早期発見の普及により、乳がんの患者様数は増加しており、毎年世界で約100万人が新たに乳がんと診断されると考えられてい ます。なかでも早期乳がんと診断された患者様の約40%が局所進行性または転移性乳がんへと進行するといわれています。転移性乳がんの患者様では、その5 人に1人しか5年生存ができないというデータがあります。
乳がんは、乳房のしこりの大きさ、乳腺の領域にあるリンパ節転移の有無、遠隔転移の有 無によって、8段階の病期(ステージ:0期、I期、IIa期、IIb期、IIIa期、IIIb期、IIIc期、IV期)に分類されます。このうち、 IIIb期、IIIc期、IV期は、転移などにより病変が広範囲にわたるため手術不能な乳がんとなります。また、手術など乳房の腫瘍に対する初期治療を 行った後、他の臓器に転移するなど(転移性乳がん)、手術した乳房の領域に再び発症した場合を再発乳がんといいます。

6.エーザイのウィメンズ・オンコロジー(Women’s Oncology)領域への取り組み
女性のがんによる死亡率は年々拡大しており、世界で毎年約300万人の女性ががんで亡くなられています(WHO統計)。今日、女性の社会的な重要性は益々 向上しており、がんと共に生きる女性を支援しQuality of Life(QOL)を向上させることはきわめて意義の高いことであると考えています。
当社は、「ウィメンズ・オンコロジー(Women’s Oncology」をコンセプトとした、女性の視点を大切にしたがん領域における取り組みを進めることにより、がんと向き合う女性の想いにより添い、希望をお届けし、QOLを向上することに貢献してまいります。
今後、「ハラヴェン(R)」の適応拡大、製剤開発により乳がん患者様への貢献を拡大するとともに、卵巣がんをターゲットとしたモノクローナル抗体  farletuzumab(ファルレツズマブ(*))、甲状腺がんや子宮内膜がんをターゲットとしたlenvatinib(レンバチニブ(*))などの開 発により、がんと闘う女性に一日でも早く革新的な新薬をお届けすることが我々の使命であると考えています。そして、世界中の一人ひとりの患者様に当社の製 品をお届けできるようアクセス・プログラムを実現するとともに、総合的なヘルスケアシステムの改善に全力を尽くしてまいります。
また、女性のがん患者様特有のニーズに対応する取り組みやがん専門ケアマネージャーの養成プログラムを医療機関と連携して開発するなど、診断・標準治療から在宅医療・緩 和ケア・終末期医療までが切れ目なく提供される地域医療体制の構築に貢献することにより、がん患者様とそのご家族のQOL向上と「がんになっても安心して 暮らせるまちづくり」をめざしてまいります。

2011年7月19日 プレスリリース

2011年7月14日木曜日

肝がん新薬の治験

化学剤とSIRT併用の肝がん治療を臨床試験=豪サーテックス

肝臓がん標的治療薬開発大手の豪サーテックスは、肝がん患者を対象に同社製 マイクロスフィア「SIRスフィア」を使用したSIRT(選択的内部放射線療法)とカペシタビンを併用した第1相臨床試験の結果が米国臨床腫瘍学会で報告されたと発表した。試験と報告は米フォックスチェイスがんセンターが実施。試験に参加した患者は21人で、病勢コントロール率は95%だった。最低濃度グループで毒性と関連している可能性のある高ビリルビン血症などが認められたものの、併用化学療法で一般的な用量のカペシタビンはSIRスフィアと安全に併用できるとしている。

2011年6月13日 時事通信

大腸がんの5%の変異を安定的に検出

世界初、全自動で大腸がんの遺伝子変異型を検出

凸版印刷(東京都千代田区)などが13日発表したところによると、同社と理化学研究所(埼玉県和光市)ゲノム医科学研究センター(鎌谷直之センター長)、理研ジェネシス(東京都台東区)は、共同研究で、全自動小型遺伝子型解析システムを開発した。

この全自動小型遺伝子型解析システムを用いたシカゴ大学との共同研究で、約140例の大腸がん患者から採取した、がん組織内の遺伝子変異の解析を試みたところ、大腸がんの遺伝子変異を全自動で、しかも1時間以内に高感度かつ高精度に検出できることが明らかになったという。

現在、遺伝子解析手法として一般的なダイレクトシークエンス法では、採取したがん組織中に存在する30%以下の遺伝子変異を検出することは困難とされている。一方、今回のシステムでは高感度なインベーダープラス法を採用し、専用の自動装置と組み合わせることで、大腸がん組織中の5%の変異を安定的に検出できるという。また、その操作も、専門家でなくても比較的容易だとのこと。これにより分子標的薬の奏効性予測が容易になれば、いわゆるオーダーメイド医療の実現に大きく近づくことになろう。

2011年6月16日 医療人材ニュース