2012年11月20日火曜日

免疫細胞ががんを駆逐する新治療法が続々

がん免疫細胞治療の一種であるナチュラルキラー細胞療法(NK細胞療法)が提供開始された。

免疫細胞の一種であるナチュラルキラー細胞(NK細胞)は, 血液中に10~20%存在しており、がん細胞やウイルス感染細胞に対して、強い細胞殺傷能力がある。

がんを発症した患者はNK細胞を含めた免疫力が低下している症例が多いための、 免疫療法では、免疫細胞の数を増やしたり、免疫細胞の活性度を上げたりすることで がん細胞の低減を計る治療法として多様な手法が試みられている。

今回に提供が開始された新治療法では、 NK細胞の新しい培養技術を開発したことで、 10億個~100億個という大量のNK細胞の投与が可能になった。

これまでは、NK細胞を短期間では大量に増殖できなかったが、新しい培養技術によれば安全なNK細胞を2週間で最大2000倍まで増殖できる。増殖された免疫細胞であるNK細胞を大量に体内へ戻すことからNK細胞療法と呼ばれるのだ。

各種の免疫細胞療法は、副作用の無い究極のがん治療法として注目を集めており、 NK細胞療法だけでなく、樹状細胞ワクチン療法やCTL(免疫細胞)療法、さらにはサプリメント療法や温熱療法と多岐に渡っている。

複数の免疫細胞療法を併用することで、さらにがん治療効果を高めることが期待できるのだ。

2012年11月16日金曜日

肺がん、乳がんの再発を予防する新薬

がん再発の原因とされる「がん幹細胞」を「再発しないがん細胞」に変える効能が、既存薬である糖尿病治療薬メトホルミンにあることが発見・実証された。

がんを外科手術で取り除いても、少しでもがん幹細胞が残されているとがんが再発してしまう。しかし、この「がん幹細胞」は放射線治療にも抗がん剤治療にも効果が薄く、 がんの根治が困難な原因となってきた。

しかし、がん幹細胞の維持に糖代謝が関係していることが発見され、「がん幹細胞」を「再発しないがん細胞」へと変化させる新薬の開発を目指して研究された。そして、既存の糖尿病治療薬である「メトホルミン」の投与によって代謝調節遺伝子を活性化させる効果で、 がん幹細胞が「再発しないがん細胞」に変化する仕組みを解明した。マウス実験を重ねることで、新治療法の効果と作用メカニズムまでもが確認されたのだ。

糖尿病治療薬「メトホルミン」は、 がんの増殖を抑制する効果が指摘されてきたが、これまでは経験的な知見に留まっていた。しかし、メトホルミンがガン再発を抑制するメカニズムが解明されて、がん幹細胞への効果が確認されたことで、 乳がん肺がんの治療にも応用できる可能性が高まっている。

糖尿病治療薬として既に承認薬となっているメトホルミンのがん治療への応用は、がんへの効能追加申請と承認を経て早期に開始される可能性が高いだろう。

この新しい抗がん治療は、山形大と国立がん研究センターの共同研究チームが世界で初めて実証した。研究論文は米国の科学誌ステム・セルズ・トランスレーショナル・メディシンに掲載されている。

2012年11月15日木曜日

小児がん の抗がん剤新薬

小児がん治療用の抗がん剤が新たに追加される見通しだ。

子供のがんである「小児悪性固形腫瘍」は日本で年間に約1,000~1,500人が発症する。

この小児がん「小児悪性固形腫瘍」に対して、ヤクルトが抗悪性腫瘍剤「カンプト」の効能・効果追加の公知申請を厚生労働省に行った。

「カンプト」は小児がん「小児悪性固形腫瘍」に対しては新薬となるが、「非小細胞肺がん, 小細胞肺がん, 卵巣がん, 子宮頸がん」の治療に対する効能・効果では1994年1月に承認済みで、さらに「胃がん, 結腸/直腸がん, 乳がん, 有棘細胞がん, 悪性リンパ腫」の治療に対しても 1995年9月に効能・効果の追加承認を受けている。

小児がんに対する新薬の承認申請は、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を経て開発要請が出されたもので、早期に承認され、小児がん治療に利用できる要望が高い新薬なのだ。

2012年11月14日水曜日

すい臓がんに新しい併用療法

すい臓がん治療に新しい抗がん剤治療法が開発されている。

抗がん剤のアブラキサン(パクリタキセル)とゲムシタビン(ジェムザール)の併用で、生存期間が延びることが確認されたのだ。アブラキサンは、抗がん剤「パクリタキセル」をヒトアルブミンと結合させた懸濁注射剤だ。

スイスの製薬会社セルジーンが、未治療の進行性すい臓がん患者を対象とした治験を実施し、アブラキサン(パクリタキセル)とゲムシタビン(ジェムザール)の併用治療で第3相臨床試験の結果、全生存期間が有意に改善したのだ。さらに、この2つの抗がん剤を併用する新治療法の安全性は、アブラキサンの単独療法の臨床試験と同等だったとされる。

すい臓がん抗がん剤は種類が少ないため、新治療法に期待が高まっている。

2012年11月2日金曜日

前立腺がんを抑制する抗がん剤新薬

前立腺がん治療用の抗がん剤新薬「ゴナックス 皮下注用」が新発売された。

新薬ゴナックス(一般名:デガレリクス酢酸塩)は、前立腺がん患者のがん増殖を促進してしまう男性ホルモンのテストステロンの発生を抑えることで、前立腺がんの増殖を抑制する効果がある。

海外では既に62か国で承認されている皮下注射される抗がん剤だ。日本では2012年6月29日に承認取得し、同年8月28日に薬価基準に収載された。

アステラス製薬から、2012年10月23日(火)に販売が開始される。

2012年10月31日水曜日

肺がん,乳がん,大腸がんの転移を抑制する効果を新発見

心不全の治療に用いられているホルモン製剤に、 がん細胞の転移を抑制する働きが発見された。

がんは心臓へ転移し難いことから、心臓に特有なANPというホルモンに着目した研究が実施された。そして、 2009年から552人の非小細胞肺がんの患者のデータを調べたのだ。

調査結果では、心不全治療などでホルモン剤を使用しつつ がん手術した肺がん患者の2年後の再発率は4.5%であるのに対して、ホルモン剤を使わなかった人は19.2%と再発率が有意に高かったのだ。しかも、がんの進行度には関係なく再発率に大きな差がでた。

その後、人間のがん細胞を移植したマウス実験においても、ホルモン剤によるがん抑制効果は検証された。 がん細胞を移植されたマウスの血管転移のがん細胞数は、肺腺がんで約5分の1、肺の大細胞がん・大腸がん乳がんでは約3分の1と減少したのだ。

そして、ホルモン剤によって血管の内壁を守られ、 がん細胞が漏れ難くなっている仕組みが解明された。

ホルモン剤が肺がんの再発を減らす効果が実証されたことから、他のがん治療に対しても転移予防薬となる可能性が高まり、さらなる研究に期待が膨らんでいる。

ホルモン剤によるがん転移抑制効果は、国立循環器病研究センターと大阪大の共同研究チームが発見した。

2012年10月29日月曜日

大腸がん治療に有効な市販鎮痛剤

鎮痛剤のアスピリンが、大腸がんの死亡率低減に効果的と判った。

アスピリンががん治療に有効とされたのは、特定の遺伝子に変異がある大腸がん患者に対しての治療効果だ。 大腸がんと診断された964人の経過を細胞を分析と合わせて追跡調査した結果に判明した。

大腸がん患者のうち「PIK3CA」というがん細胞の増殖に関与する遺伝子に変異があった161人と、遺伝子変異のない803人について、アスピリンを飲むかどうかで予後の違いを比較したのだ。

PIK3CA遺伝子変異があった患者群では、アスピリンを飲む習慣がなかった95人のうち大腸がんが原因で26人が死亡した。一方、アスピリンを週に複数回飲んでいた66人では、大腸がんが死因だったのは3人だけだったのだ。この調査結果から有意にアスピリンの有効性が示されている。

米ハーバード大の研究報告が、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された。