2012年4月26日木曜日

マイタケ・エキスのがん治療効果を臨床試験

まいたけ抽出物と血液がん治療薬を組み合わせにより、多種多様な悪性腫瘍(肺がん, 胃がん, 乳がんなどの固形がん)に対する作用効果が検証される。

まいたけ抽出物は、βグルカンを主成分とした健康食品で、株式会社雪国まいたけ がマイタケ・エキス「MDフラクション」として 製造販売している。

「MDフラクション」は10年間以上の基礎研究を経て、 2008年にニューヨークのスローン-ケタリング記念がんセンターで 元 乳がん患者を対象としたP-I/II臨床試験を実施した。

今回の臨床試験は、米国テキサス州ヒューストンの、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター(University of Texas, MD Anderson Cancer Center)で、進行性悪性腫瘍(腫瘍の種類を限定しない)の臨床試験を行う。この臨床試験で確認されるのは、まいたけ抽出物の各種抗がん剤の効能改善と、副作用の軽減作用だ。

具体的には、抗がん剤のアザシチジン(DNAメチル化阻害剤)によってがんマーカーが顕在化したがん細胞に対して、 免疫を制御するレナリドマイドおよび「まいたけ抽出物」による骨髄細胞の分化増殖促進作用が検証される。また、キラーT細胞やナチュラルキラー細胞などの免疫細胞がマーカーを顕在化したがん細胞を攻撃するというエピジェネティック免疫調節作用(epigenetic Immunomodulation)を検証することも目標とされている。

株式会社雪国まいたけ は、日米で製法特許を有する マイタケ抽出物の健康食品「MDフラクション」を提供し、治験結果から 統合医療がん患者への拡販を期待している。

2012年4月25日水曜日

胃がん, 食道がん の最先端治療と進行検査

胃がん、食道がん の生存率を高める病院

食道がんや胃がんでは、がんが粘膜の下の方まで進行していると、多くの場合、手術の適応になる。臓器の一部あるいは全部を切除し、がんの進行度合いによってはその周辺のリンパ節も取り除く。治療ガイドラインで定められている治療法で広く普及しているものの、新たな検査方法が確立されれば、どこまで切除すべきかが客観的かつ科学的に示され、より正確な治療法が確立されることになる。

そんな胃がんや食道がんが、最初に転移しやすいのはセンチネルリンパ節という部分。現在、先進医療として、「センチネルリンパ節生検」という検査方法が行われている。

がん病巣の近くに特殊な色素やラジオアイソトープを注入して、がんが最初にリンパ節に到達するセンチネルリンパ節を同定し、転移の有無を顕微鏡で調べる。この検査は、すでに乳がんやメラノーマ(皮膚がん)に対しては、広く行われている。それを食道がんや胃がんへ応用するために、世界に先駆けて1998年から研究を進めているのが慶應義塾大学病院 一般・消化器外科だ。

慶應義塾大学病院は 先進医療の検査はもちろんのこと、小さな傷口で手術を可能とした腹腔鏡を用いた低侵襲の治療でもパイオニアである。

「胃がんや食道がんに対して、センチネルリンパ節生検を行うと、取り残しや余分な組織の切除を省くことができるなど、さまざまなメリットがあります。ただし、その検査に基づく治療で、本当に従来の手術と同じ生存率を確保できるか。その見極めの研究を行っています」と副病院長と腫瘍センター長を兼務する同科の北川雄光教授(51)は言う。

北川教授は、胸腔鏡・腹腔鏡手術のスペシャリストだ。食道がんや胃がんでも、患者にメリットがあれば胸腔鏡・腹腔鏡による手術を積極的に行っている。また、胃の良性腫瘍の胃GISTや、機能障害の一種・食道アカラシア、逆流性食道炎の手術では、全国に先駆けてヘソのひとつの穴から行う「単孔式腹腔鏡下手術」を導入。熟練した技術とチームワークで、低侵襲で確実に治療できる最先端技術を研究している。

「胃がんや食道がんに単孔式腹腔鏡を応用するには、医療機器の進歩を待たなければなりません。また、将来的には、腹腔鏡下手術と内視鏡の治療を組み合わせることで、臓器の温存がこれまで以上に可能になると思います。しかし、それにもまだ数年かかるでしょう」(北川教授)

腹腔鏡下手術でセンチリンパ節生検を行い、転移が見られなければ、内視鏡による治療で臓器を温存する。それは、これまで内視鏡の治療では、再発するのではないかと考えられた症例に対して、手術によって胃を部分切除するだけでなく、胃を残すという選択肢も広がることになる。

「今後、医療機器などがさらに発達することで、治療方法や検査方法の選択肢は増えるでしょう。しかし、手術で治るがんは再発させてはいけません。それを追求するために取り組むべきことはまだ多い」と北川教授。確実に治るがんを増やすために、今も力を注ぎ続けている。

< 2011年の治療実績 >
☆胃がん治療総数379件
☆胃がん手術件数158件
(内腹腔鏡下手術82件)
☆食道がん治療総数182件
☆食道がん手術件数50件
☆センチネルリンパ節生検64件
☆病院病床数1059床

慶應義塾大学病院
〔住所〕〒160-8582東京都新宿区信濃町35
(電)03・3353・1211

既存抗がん剤を深夜投与の新がん治療法

がん治療へ既存薬を用いた「時間治療」が画期的な効果を上げ注目されている。

「時間治療」とは、がん治療に用いる抗がん剤治療薬を「深夜」に投与するだけの治療方法で、抗がん剤は従来と全く同じ。投与する時間を「深夜」へ変えるだけで、 がん患者の生存期間の延長や、関節リウマチのつらい痛みや腫れがおさまるなどの効果が上がっているのだ。

1.5倍の抗がん剤を深夜に投与してがん縮小

健康診断で肝臓にガンが見つかり、抗がん剤治療を受けていた男性も「時間治療」でがん細胞が収縮した。発見時には、ガンが大き過ぎるために手術は無理とされたが、時間治療を導入している病院に転院し、それまでの抗がん剤の1.5倍の量を深夜に投与された結果、数ヶ月後には がん細胞が収縮したのだ。

関節リウマチに対しても、長年苦しんできた70才の女性が、同じ薬を飲む時間を朝昼2回から"夜寝る前の1回に変更"しただけで痛みの症状が軽減された。

このような病状や症状の改善の背景にあるのは、細胞の中で時計のように働く『時計遺伝子』研究の進歩とされる。

「時間治療」は深夜に実施されるために医療スタッフの確保などの課題があるが、がん患者には試す価値が十分にある新治療法と言えるだろう。

2012年4月24日火曜日

乳がん治療 へ抗がん剤新薬を承認

ドイツの独立した医療制度の最高意思決定機関であるドイツ連邦合同委員会(G-BA)が、進行性・転移性乳がんの新薬を承認した。

承認されたのは、エーザイにより創製・開発された抗がん剤「HALAVEN」(一般名:エリブリンメシル酸塩)。

複数の抗がん剤による治療歴のある局所進行性・転移性乳がん患者に対して、追加効能を有していると評価された。

ドイツ連邦合同委員会による評価は、グローバル第III相臨床試験であるEMBRACE試験の結果に基づいたもの。「HALAVEN(ハラベン)」は、単剤のがん化学療法剤として世界で初めて、治験医師が選択した治療法との比較で、統計学的に有意に全生存期間の延長を示したのだ。

局所進行性・転移性乳がんの治療に用いられる抗がん剤新薬として、がん患者の余命延長に寄与するとされた。

2012年4月23日月曜日

既存抗がん剤の対象外治療が可能に

既存の抗がん剤を保険承認時の適用外のがんに使う制度がいよいよ開始される見込みだ。

厚生労働省は2013年4月にも、保険診療との併用(事実上の混合診療)を広く認める方針。

現行の制度では、抗がん剤は、保険承認の際に治療対象となるがんが指定されており、保険適用外のがんに使うことは通常はできなかった。(全額自己負担なら可能だった)。抗がん剤は保険が適用できるがんの種類が決まっており、他のがんに使うと治療費が全額自己負担になってしまうのが原則=「混合診療の禁止」だった。しかし、保険適用の範囲を広げられることで、実用化が進んでいる肺がんの薬を卵巣がん治療に使うなど、がん治療の選択肢が保険診療内で広がる。

抗がん剤の保険適用拡大は、手順として2段階で進められる。

第一段階は、保険適用外の抗がん剤の使用を医療機関が国立がん研究センターに申請、審査される。「先進医療」として認定を受ければ、抗がん剤新薬として診察、検査など一般診療部分に保険が適用される。この段階では、抗がん剤新薬の薬代は、まだ保険対象ではない。しかし、「混合診療」が許されることだけでも大きい。 第二段階では、該当する抗がん剤の治療効果を確認されれば、厚労省による正式な薬事承認に先駆けて、抗がん剤新薬の薬剤費も含めて保険適用の対象費用とできる。

米国では、「コンペンディウム」と呼ばれている "承認"と"保険適用"を切り離した制度が参考にされている。

現行制度では、未承認薬をがん治療に用いると、薬代だけでなく、治療費全てが自己負担になるため、がん患者は、治療の断念か、多額の医療費を負担化の判断が強いられていた。

抗がん剤の多くは、資本力が大きく、巨額の開発費を投入できる欧米の製薬会社を中心に研究・開発が進んでいる。自然と開発対象は、欧米人に多い肺がん大腸がん などのがんが中心となる。一方、日本人に多いのは、胃がんや卵巣がん で、さらには薬の実用化までの規制が強過ぎることから、抗がん剤新薬の応用研究が遅れているという実情があり、国内のがん患者団体が規制緩和を強く求めていた。

日本医師会には反対論・慎重論があるそうだが、がん患者達の永年の希望が達成される見込みは強くなった。

実は、厚労省が保険併用を広く認める背景には、国内の製薬会社の研究・開発を進める狙いがある。抗がん剤をはじめとする医薬品の輸入超過は年間1兆円を超え、貿易赤字の主因となってきており、国内で国内製薬会社による がん新薬の開発が急務となっているからだ。制度を改革し、抗がん剤新薬の研究開発を促すことで、日本をアジア向け抗がん剤新薬の研究・開発拠点に位置付け、医薬品輸出を拡大したい目論見なのだ。

背景はさておき、がん患者と家族にとっては、使える新薬が増え、治療費が抑制できる新制度は朗報と言える。
早期かつ確実な新制度の発足が望まれる。

2012年4月20日金曜日

前立腺がん, 甲状腺がん の新薬が保険承認

厚生労働省が がん治療新薬を審議し、下記の抗がん剤を新薬として保険承認を了承した。

前立腺がん新薬: ゴナックス皮下注80mg, 120mg(デガレリクス酢酸塩:アステラス製薬)
「前立腺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。海外55カ国で承認済。
がん細胞の増殖を促す男性ホルモンであるテストステロンの産生を低下させ、腫瘍の増殖を抑える効能。テストステロンの産生に関わるGnRH受容体へのGnRHホルモンの結合を阻害するGnRH受容体拮抗薬である。
4週に1回投与する。

甲状腺がん新薬: タイロゲン筋注用0.9mg(ヒトチロトロピンアルファ遺伝子組換え:佐藤製薬)
「分化型甲状腺がんで甲状腺全摘または準全摘術を施行された遠隔転移を認めない患者における残存甲状腺組織の放射線ヨウ素によるアブレーションの補助」の効能・効果を追加する新効能医薬品。

なお、今回の審議会では、社会問題化しつつあった懸案の「ポリオの不活化ワクチン」も承認を受けた。

2012年4月18日水曜日

がん再発の原因がん細胞を特定

放射線治療後にがんが再発するメカニズムの一端が解明された。

がんは、がん細胞の周囲の血管から酸素の供給を受けることで増殖する。がんが放射線治療後も死なずに再び増殖してしまうのは、血管から少し離れた低酸素環境でも生存できる特定のがん細胞が原因であると断定された。

この特殊な がん細胞は、血管の周囲のがん細胞が放射線で死滅すると、遺伝子が活性化することで血管の方向へ移動することが観察されたのだ。実験では、治療前のがんには17%しか存在しなかった特定がん細胞が、がんの再発時には60%にまで増えていた。この特定がん細胞を阻害剤で移動抑止すると がんは再発しなかったのである。

将来的な新治療法として、この「低酸素がん細胞」に放射線を集中照射する方法などが検討されており、がん再発の防止は実現にまた一歩近づいた。

がん再発メカニズムは、京都大大学院の原田浩講師らの研究グループが解明し、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表された。