薬局で購入可能なアスピリンを毎日少量服薬した人は、3年後にがんを発病する確率が服用しなかった人に比べ24%も低いことが、分かった。さらに、量に関わらず毎日アスピリンを飲んだ人は5年後にがんで死亡する確率が37%低かった。この現象は男女の性別に関わらず、有意に出現した。
アスピリンは、約2400年前の古代ギリシア医学者のヒポクラテスの時代に起源を持つ薬で柳の樹皮に含まれるサリシンという成分が原材料になっている鎮痛剤。今では、薬局で1粒約2円50銭程度の安価で購入が可能だ。
アスピリンが、長期的にがんによる死亡の確率を低下させることは、既に2007年に研究報告がされていた。しかし、その際には効果が表れるのは8年以上経過してからだと考えられていたのだ。
ところが、今回の研究では、短期間でもアスピリンにはがん予防効果があることが判明したのだ。これは、がん治療にも利用できる可能性が示されたされている。
アスピリンは価格が安いという点と 安全性が極めて高いという2点で、非常に評価されるだろう。また、アスピリンの副作用とされる内出血のリスクも3,4年で低下するとされた。
家族にがん、特にすい臓がん患者を持つ人、さらには、心臓発作や脳卒中のリスク要素を持つ中年の人は、アスピリンを日常的に服用することでがんリスクが低下する可能性が高い。
研究は、医学誌ランセットに21日発表された。
2012年3月23日金曜日
1粒2.5円で膵臓がんを予防
2012年3月22日木曜日
肺腺がんの特効薬へ大発見
肺腺がん細胞の急所発見
死亡率第一位のがんの中でも、日本で最も患者の多い肺がん。その肺がん中で最多の患者がでる肺腺がんのがん細胞の生死を決定する遺伝子が発見された。肺腺がんの分子標的薬、特効薬の期待が高まってきた。
発見したのは名古屋大大学院の高橋隆教授と山口知也助教らの研究グループ。
高橋教授らは2007年には、肺腺がんに特に多いTTF1という遺伝子を発見していた。しかし、TTF1はがん細胞だけでなく正常な肺の機能にも必要であり、当時は肺腺がんが引き起こされる仕組みまでは解明されていなかったのだ。
その後も人間の肺腺がんの細胞株を使った実験を継続した。そして、ついにTTF1が出現させるROR1というタンパク質が、肺腺がんを生死を決めていることを突き止めた。マウスに肺腺がんの細胞株を移植し、ROR1を抑制すると肺腺がんが細胞死し、がん細胞は増殖しないことが確認された。
肺腺がんの治療薬としては、分子標的薬「イレッサ」が主流となりつつあるが、イレッサは別の遺伝子を標的にしている。そしてイレッサは、服用から1年程度で耐性ができてしまい、抗がん剤が効かなくなる例が報告されている。しかし、ROR1を抑制すれば、イレッサへの耐性ができた場合でも、がん細胞の増殖が抑えられることも確認された。
日本の非喫煙者の女性の肺がんは、ほぼ肺腺がんとされる、最も症例数が多い肺がんだけに、狙うべき遺伝子がROR1と特定されたことで、抗がん効果の高い特効薬の開発が期待されている。
研究論文は、米がん専門誌キャンサーセル(電子版)に発表された。
大腸がん新薬で余命を2年間へ
分子標的抗がん剤の副作用皮膚障害を激減
がん細胞だけに作用して、副作用が無いとされ期待の大きかった分子標的薬タイプの抗がん剤だが、実際には副作用が出ている。大腸がんのがん治療に用いた分子標的薬の副作用の中では、皮膚障害が大きな問題になっている。 抗がん剤使用開始時からの予防的治療の必要性を検証した。
分子標的薬は、がん細胞特有の分子を攻撃する抗がん剤だが、皮膚などの正常細胞も攻撃することが解ってきた。
大腸がんで用いられる分子標的薬 セツキシマブとパニツムマブの場合にも副作用は皮膚に出る。分子標的薬 セツキシマブとパニツムマブはがん細胞に過剰に出ているEGFR(上皮細胞増殖因子受容体)分子を攻撃することで、がん細胞の増殖を抑える。患者の適性が合致し効果があった場合には、手術不能の再発大腸がん=末期がんの生存期間を平均6カ月から約2年と4倍にまで延長でき症例まで報告されている。一方、かなりの高確率で、顔などに酷いニキビ状の皮疹、指の亀裂、爪周囲の炎症などの副作用が発生する。これは、分子標的薬抗がん剤が、皮膚や毛、爪の増殖や分化も抑制することが原因だ。
対策の一歩は、分子標的薬には「効かない患者がいる」の確認。セツキシマブとパニツムマブに関しては、約4割が効かない患者。効果の無い患者に副作用だけを強いるのは、処方は時間と体力と費用の無駄だ。これは、処方前の遺伝子検査で適性の有無を確認できる。
遺伝子検査の結果で適性が確認できた後に投与するのだが、対策は初日から必要だ。
投与初日から抗生物質「ミノマイシン」を飲み、保湿剤およびステロイドの塗り薬を利用することで、皮膚への副作用は軽減できるのだ。この皮膚への副作用障害の予防対策は、知らない開業医が多いので留意する必要がある。抗菌剤の塗り薬などでの対処では、効果が薄いのだ。
抗がん剤、ましてや新薬、さらには分子標的薬による副作用とその対応は、皮膚科医でも知見が深いとは限らない。がんは、医師任せではなく、患者側でもがんに関する知識を深め、主治医および関係医師と協力することが不可欠な病なのだ。
2012年3月21日水曜日
全く新しいプラズマ がん治療法
プラズマで悪性細胞死滅 卵巣がん治療で効果確認
正常な細胞を傷つけずに悪性細胞だけを狙って死滅させる全く新しいがん治療法に、名古屋大の吉川史隆教授(産婦人科学)らの研究グループが成功した。
新しいがん治療法は、特殊な装置で発生させたプラズマを卵巣がんの細胞に照射することで、 がん細胞の死滅を計る。炎症を伴わずにがん細胞だけが自ら死ぬ「アポトーシス」という現象を引き起こすため、正常な細胞への炎症=副作用は無いのだ。
通常のプラズマは大気中で発生させると高温になるが、当該研究では大気中でも低温のプラズマを発生させる装置を開発した。このプラズマをシャーレ上に培養したがん細胞に照射すると、炎症によって周りの細胞を傷つけることもなく、がん細胞だけが死滅した。
実験では、約10分間のプラズマ照射でがん細胞の7割が死滅することを確認。さらに正常な細胞にプラズマを照射した場合でも死滅する細胞数は少なく、殆ど影響が無いとの結果を得た。実験は、卵巣がんが対象であったが、卵巣がん以外のがんにも効果が期待されるため、プラズマ照射によるがん細胞のアポトーシスが引き起こされる詳しい仕組みの解明が待たれる。。
手術、放射線、抗がん剤の現在の3大がん治療に加えて、 第4のがん治療の主流になる可能性がある。
研究論文は米科学誌アプライド・フィジックス・レターズに掲載された。
2012年3月19日月曜日
がん全種類に効く抗がん酵素とは?
全てのがんの進行を抑制する万能酵素が世界初で発見された。
肺がん、リンパ腫、乳がんや子宮がん、骨髄がんなどあらゆるがん細胞には、「Akt」という酵素が、異常に活性化していることは既に知られている。Akt酵素は、がん細胞の成長を促すだけでなく、がん細胞を体の他の部分へ転移させるのにも関わっているのだ。また、がん細胞に、抗がん剤への耐性を持たせてしまうばかりでなく、がん再発も手助けしてしまう、まさにがん促進酵素なのだ。
Akt酵素の悪しき振る舞いについては1990年代末までに確認されはいたが、肝心のAkt酵素を抑制する物質や方法については、まで見つかっていなかった。
韓国の建国大学・微生物工学科のアン・ソングァン教授とべ・スンヒ博士は、タンパク質分解誘導酵素の「ムーラン(Mulan)」が、Akt酵素を分解することで、がん成長を抑制し、がん細胞を殺せる酵素であることを発見した。
研究チームでは、ムーラン(Mulan)酵素がAkt酵素の284番目のアミノ酸にくっついて分解を誘導し、結局、がん細胞の進行を抑制することを確認したのだ。また、研究チームはAktの分解が細胞の生き残りや死滅に大変重要な器官であるミトコンドリアで行われることも、追加で明らかにした。
Akt酵素は、ほぼ全てのガンに関わっている。これを抑制できるムーラン(Mulan)酵素を活用すれば、全てのがんを抑制し、再発予防できる新概念の抗がん新薬の開発が期待される。
2012年3月16日金曜日
最先端のがん診断機器を導入した病院
がん転移、正確に診断する次世代PET-CT装置
最先端のがん診断が可能となる「次世代PET-CT装置」を、中部地方の医療機関では初めて富大附属病院が導入した。画像撮影時間は従来の半分に短縮され、従来より小さながん腫瘍(しゅよう)を発見できる程に性能が向上した。病院は新しい装置を有効活用して、分子レベルのがん治療に役立てたいと話している。
この最新のがん検査装置はドイツ・シーメンス社の最新型で、設置費用も含めた総額で約2億6千万円。1日6人程度の検診が可能で、一般の検診費用は90,750円。
がんの活性度や悪性度などを診断できるPET(陽電子放射断層撮影)とがんの形や大きさが分かるCT(コンピューター断層撮影)を行える。 撮影時間は計10~15分程度と短く従来の半分。撮影感度が向上したために画像の精度も高まり、リンパ節に転移したがん腫瘍については、従来の半分の大きさの5mm大でもがんの判別が可能となった。
また、患者が入る装置の口径は、閉所恐怖症や肥満気味の利用者にも対応できるよう従来より20センチ大きい77cmとなった。CTは体を40列にスライスして断層撮影した画像を診断する方式で、放射線被曝の低減化も図られた。
2012年3月15日木曜日
膀胱がん全摘手術を克服
膀胱がん闘病記をまとめ出版
「誰でも膀胱がんになる可能性がある。手記ががんの早期治療の啓発になれば」と手記
山本哲司さん(63)が、膀胱がんの闘病生活をまとめた手記「小心者の患者力」を自費出版した。
山本さんは膀胱摘出の手術後から両足に障害を出て、その痛みとも闘かった。「自分で判断して血尿を放置し、その結果がんが進行した。体に異常があればすぐに病院に行ってほしい」と本の出版を決意した理由を語る。
2003年に痛み等の自覚症状はなかったが、残尿感があり、血尿が出た。当初は、数日すると普通の尿に戻ったため「もう少し様子を見よう」と放置したことを後悔しているという。その後に度々血尿が出続け、2008年に固まった血で尿道が詰まり、尿が出なくなった。慌てて、救急車で北見赤十字病院(日赤)に運ばれたのだ。
病院での精密検査の結果、膀胱がんと診断された。すぐに手術を受けたが、がんは筋肉まで進行していたために、1度では全部を切除できなかった。さらに手術では、膀胱を摘出し、人工膀胱を付けた。その手術の直後から、両足に痛みを感じるようになり、歩けない状態になってしまった。現在では少し改善したが、しびれや痛みは残っており、歩行には杖が必要なこともある。
手記には医師にがん宣告された時の心情を「『がん』イコール『死』という構図が赤信号の点滅の如くパカパカしていた」と綴っている。
このほか手記には、不安だった入院生活、家族の支え、合併症、リハビリなど、がんに苦しみながらも懸命に病気と闘い、克服した生活について紹介している。
膀胱がん体験談の手記は四六判130ページで1200円(税込)。