2011年3月25日金曜日

発見が難しいすい臓がんの対処法

沈黙の臓器はとてもデリケート 分かってからでは遅い「すい炎」対処法

“沈黙の臓器”と言われるすい臓。最近、この病気でお笑い芸人の『次長・課長』河本準一や『チュートリアル』福田充徳が入院したのは記憶に新しいところ。 2人とも今では元気に復帰しているが、同じ消化器系の胃や肝臓に比べ、馴染みの薄い臓器だけに注意が必要だ。突然、激痛が走ったり、がんに侵されることも ある。

すい臓は、お腹の一番奥深いところにあって、肝臓、胆のう、十二指腸、大腸、ひ臓、腎臓に囲まれている。というより覆われている、といった表現の方が分 かりやすい。さらにその後には、下大動脈や腹大動脈などが通っている。すい臓病に自覚症状がないため、病気も予見しづらい。
すい臓は、すい外分泌という消化液でもあるすい液を十二指腸に送り出す。その流れが、どこかでせき止められたらどうなるか。例として、地中の下水管が地 震などで詰まった事を想定して欲しい。汚れた下水が、各家庭の排水管から洗面所やトイレに逆流して溢れ出すはずだ。すい臓の調子が悪くなるとこれと同じ で、すい液の逆流が起きるのである。
つまり、すい管が詰まるとすい液が十二腸に流れなくなり、すい管内に溜まる。すい管は絶えきれなくなり破損し、すい炎に進展。そして、みぞおちから背中 にかけて激痛が走る。すい臓の代表的な病気といえば、急性のすい臓炎(急性すい炎=すい臓の急激な炎症)、慢性すい臓炎、すい臓がんなどがあり、黄疸など を発症する。
とくに慢性すい炎は、自覚症状がないのがやっかいだ。腹痛から胸焼け、下痢、食欲不振など「何となくおかしい」「ちょっと具合が悪い」といった症状が多い。  他に、背中の痛みや腰痛、全身の倦怠感、体重の減少などがあるが、腰痛が起きたからと言って慢性すい炎に結びつける人はほとんどいないだろう。「昨日飲みすぎたか、食べ過ぎたかな」と、市販の胃薬で紛らわしてしまう。
だが、時間が経っても症状に改善が見られず、結局、専門医で詳細にわたる問診、触診を受けることになる。すると、すい機能障害や組織障害を起こしていることが分かり、慢性的なすい炎と診断されるのだ。
こうした患者のほとんどは、普段からアルコールの飲み過ぎ、油を使った食事や脂肪分の多い食事、ストレス、過労の傾向がある。そして、たばこを吸っている人、と専門医は言う。進行すれば糖尿病を併発し、かなりの高い確率ですい臓がんを発生している。60歳以上の高年者が、とくに多いという。

かつて、日本を代表する大女優の杉浦春子さんが、'97年4月、91歳で亡くなった。死因はすい臓がん。発見されてから、わずか3カ月余で亡くなったという。
すい臓がんは、がんのなかでも発見がしにくく、見つかった時にはかなり進行していることが多い。杉浦さんの場合もそうだった。
また、俳優の高橋悦史さんもすい臓がんで亡くなっている。『鬼平犯 科帳』の中村吉右衛門演じる長谷川平蔵を支える筆頭与力役で好演したのが最後だった。手術後2年、享年56歳。  最近では、『男と女の数え唄』『たかが人生じゃないの』などのヒット曲で知られる歌手の日吉ミミさんが一昨年4月、すい臓がんの手術を受けた。ミニクラ ブを切り盛りしながら、現在2週間に1度、検査と抗がん剤の点滴を受け続けているという。原因は、家族の不幸などが重なっての過労やストレスとされる。
また、『次長・課長』の河本、『中川家』の中川剛、そして『チュートリアル』の福田らは、急性すい炎で倒れて入院した。お笑い系のタレントが相次いでダ ウンしたことで「何が起きたんや」と話題騒然となったものだ。3人に共通しているのは、酒の飲み過ぎ、睡眠不足、忙しさによる疲労などのストレスだった。
3人とも1~3カ月ほどの入院、治療で仕事に復帰できたが、一歩間違えれば命取りの危険性がある。

2011年03月24日 週刊実話