2011年5月24日火曜日

骨肉腫転移を予防する新しい治療法

骨肉腫の転移、抑える物質を発見 鳥取大

細胞の機能を抑える性質を持つ物質が、骨のがんの骨肉腫が肺へ転移するのを抑える作用を持つことを、鳥取大学大学院医学系研究科の尾崎充彦助教(腫瘍〈しゅよう〉生物学)が発見した。国立がん研究センター(東京都中央区)の落谷孝広博士との共同研究で突き止め、アメリカの科学誌で発表した。骨肉腫は10代に多い病気で、新たな治療法の開発につながることが期待されている。

この物質は、遺伝子の働きにかかわるリボ核酸(RNA)の断片の一つとされる「マイクロRNA143」。細胞増殖や生理活性物質の分泌など、細胞の機能を制御する作用を持つという。

尾 崎助教らの研究グループは、約1千あるといわれるヒトのマイクロRNAのうち、肺に転移した骨肉腫細胞の中で少なかったマイクロRNA143に着目。ヒト の骨肉腫の細胞を投与したマウスを10匹ずつ二つのグループに分け、その一つのグループに3日おきにマイクロRNA143を50マイクログラム投与した。

20匹全部のひざ部分に骨肉腫が確認されたが、4週間後には、この物質を投与されなかったグループは10匹すべての肺にがんが転移していたのに対し、投与したグループで転移が確認されたのは4匹だけだった。

この実験結果などから、マイクロRNA143には、骨肉腫のがん細胞が周囲の細胞組織を壊して広がるのを抑える働きがあると結論づけた。

骨肉腫は発症患者の約6割を10代の若者が占める病気。手術や抗がん剤の投与で治療することができるが、術後5年以内に3~4割の確率で肺に転移する。転移したがんは、病状が進行しているので治療が困難なことが多く、転移をどう抑えるかが大きな課題になっている。

尾崎助教は研究の成果について「骨肉腫の転移を予防する新しい治療法や薬の開発につながり、十分に解明されていない転移のメカニズムも明らかになる可能性もある」としている。

2011年5月23日 朝日新聞

胃がん発症者ゼロに近づく?

胃がんはなくせる
ピロリ菌除菌が効果
北大教授、撲滅計画提唱

か つて日本人の国民病とも称された胃がん。がんの死亡者数では肺がんの増加で1990年代に2位になったが、発症者数では依然として最も多い。近年、ヘリコ バクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染が主な原因と分かり、制圧も夢ではなくなってきた。北海道大の浅香正博特任教授(がん予防内科学)はピロリ菌の検査と 除菌を中心とした「胃がん撲滅計画」を提唱している。

▽感染で萎縮
胃がんの大半はピロリ菌感染症だ」と浅香教授は言う。胃がんは過去、塩分やストレスなどが原因とされてきた。しかし、1982年に胃粘膜からピロリ菌が発見されて以降、研究成果が積み重なり、ピロリ菌の長年の感染で胃の粘膜が萎縮して、胃がんが発生することが明らかになってきた。ただし、数%はピロリ菌と関係のない胃がんもあるとされる。
ピロリ菌に感染したことがない人は胃がんを発症することはほとんどないが、問題は、既にピロリ菌に感染している人。除菌したら胃がんを予防できるのだろうか。
浅香教授らは、早期胃がんで内視鏡治療をした患者505人について、治療後に除菌した集団としなかった集団とに分けて3年間追跡した。いずれも切除した場所とは異なる場所に胃がんが再発した人が出たが、除菌した集団はしなかった集団に比べて発症率が3分の1になった。

つ まり、感染者は胃が萎縮するなど症状が進んでいるため、除菌しても発症を完全に予防することはできない。しかし、胃がんになるほど症状が進んだ人でも除菌 をすれば発症が3分の1に抑えられることから、胃がんにまで至っていない人なら、除菌で発症は3分の1以下に抑えられることを示しているという。

▽50歳以上対象
除菌の効果は胃の萎縮が進んでいない若いうちほど大きく、推計では男女とも30代までに除菌をすると、ほぼ100%胃がんにならない。40代で除菌すると男性は93%、女性98%、50代では男性76%、女性92%、60代では男性50%、女性84%で予防できるという。
ピロリ菌は胃酸の分泌が未成熟の幼児期に感染し、成人では感染しないため、除菌後に再び感染することはまずない。
浅香教授が提唱する胃がん撲滅計画は、 胃がんの死亡率が低い年代を除いた50歳以上が対象。ピロリ菌検査に加え、胃の萎縮を調べるペプシノゲン検査を義務付ける。いずれも血液検査で、二つ合わ せて「ABC検診」と呼ばれる。両検査で問題ない人は、ほぼ胃がんにならないため以後の検診は不要。ピロリ菌に感染しているが、胃の萎縮が進んでいない人 は、除菌すれば胃がんになる可能性は極めて低い。胃の萎縮が判明すれば、除菌をした上で定期的な内視鏡検査を実施する。
萎縮が進みすぎるとピロリ菌の数が減り、検査では見掛け上「なし」と判定されるが、これはがんになる可能性が最も高い状態だ。

▽死者3万人に
現在、毎年約11万人が胃がんにかかり、年間の治療費は3千億円と推定される。団塊の世代が胃がん年齢を迎えたほか、高額な分子標的薬の導入などで年々の治療費は上がっており、2020年には5千億円を超える可能性がある。
浅 香教授の推計では、撲滅計画を実施すると、受診率50%と仮定した場合で除菌費用などに毎年約270億円かかるが、20年を迎えても治療費は現行水準にと どまり、死亡者数は現在の年間約5万人から約3万人に減少する。その後はピロリ菌感染者数の減少とともに、胃がん発症者数もゼロに近づくとの見立てだ。
浅香教授は「肝炎ウイルス対策を基本とする肝臓がんでは死亡者数が急速に減っている。なぜ、胃がんはピロリ菌対策を行わないのか」と話している。

2011年5月24日 共同通信

肝がんリスクの回避

「肝がん」原因90%のウイルス性肝炎 40人に1人が感染


現在、日本人のがん死のうち、第3位の「肝がん」。男性では40歳代後半から、女性では50歳代後半から増加し始め、罹患者の生存率は20%前後と、ほかのがんに比べて著しく低い(国立がん研究センターがん対策情報センター調べ)。

肝がんの主な原因は「ウイルス性肝炎
がんの原因の約90%は「B型・C型ウイルス性肝炎」。つまり、肝炎への感染を防ぐことができれば、肝がんの罹患リスクをかなり低減できるということだ。

厚生労働省は、毎年5月第4週(2011年は5月23~29日)を「肝臓週間」と定め、肝炎への感染予防の重要性を訴えている。

■“沈黙の臓器”を目覚めさせよ
ウイルス性肝炎は国内最大級の感染症で、B型・C型を合わせると、300万人以上――日本人の約40人に1人が感染していると予想される。

肝臓は、病気にかかっていても、なかなか症状が出ないため、気づいた時には重症化しているケースも多い。しかし、肝炎ウイルスへの感染を早期に発見・治療さえしておけば、将来のウイルス性肝炎、ひいては肝がんさえ、予防できる確率が非常に高いということなのだ。

■26歳以上の人は感染の可能性あり
肝炎ウイルスは、「血液」を通して感染する。とくに、感染力の強いB型肝炎のほとんどは、出生時に母親から「母子感染」するといわれている。

1985年以前に生まれた人、つまり今年26歳となる人以上は、母子感染予防策が実施されていなかったため、感染リスクを考え、早期に検査を受けておいた方がよい。

■まずはインターネットで手軽に「肝臓チェック」を
肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、全国の保健所や指定医療機関で行なわれている無料(一部負担が必要なケースもある)の「血液検査」で、簡単に調べることができる。この検査は短時間で済み、数週間後には検査結果がわかる。

「保健所に行く時間がない」という人には、B型肝炎の情報サイト『肝炎.net』で事前にチェックしてみるのもオススメだ。

同サイト内の「Kanzo診断」では、6つの簡単な質問に答えるだけで、B型肝炎ウイルスに感染している可能性を診断できる。また、B型肝炎に関する最新情報や、無料の検査施設についての情報も掲載されているため、早期発見や感染対策の一助にもなる。

肝炎ウイルスに感染している場合は、少量の飲酒でも肝機能の悪化を招く。「今はまだ大丈夫」と油断せず、原因となる肝炎を手軽なインターネット診断や無料健診でチェックし、「肝がん」のリスク回避を。

2011年5月23日 Newsポスト

2011年5月23日月曜日

ミカンと緑茶でがん予防

日本人にはおなじみの「ミカン」。糖尿病、高血圧、心臓病、痛風、肝機能障害などの生活習慣病の予防や骨密度の低下リスクを下げる効果が疫学調査から明らかになっているほか、細胞レベルではコラーゲンの産生を促進するといった美肌作用も確認されています。また、ミカンの皮を乾燥させた「陳皮(ちんぴ)」は生薬として漢方薬などに配合され、胃もたれ、消化促進、食欲増進、かぜによるのどの痛みやせきの緩和などに用いられており、その健康効果は古くから知られています。

こうしたミカンパワーを支えている中心的な健康成分が、オレンジ色の色素成分であるβクリプトキサンチン。ほかに苦み成分であるリモノイドやフラボノイドの一種、ヘスペリジンもミカンパワーの元になっています。

一方、緑茶にも、苦み成分のカテキン、うまみ成分のテアニンをはじめ、様々な機能性成分が含まれています。これらの成分は緑茶独特の味わいをつくり出すだけでなく、抗酸化作用や緊張緩和作用などにより、抗ウイルス、ダイエット、ストレス低減など多様な健康効果をもたらしてくれます。

どちらにも、私たちの健康と美容に欠かせない大切な成分がたっぷり詰まっていますが、この二つを一緒にとることでがんの発症リスクがより低下することを明らかにしたのが、東北大学大学院公衆衛生学分野の辻一郎教授らの研究グループが中心になって宮城県で行った疫学調査「大崎国保コホート」(*下記参照)です。

日本の食卓の原風景ともいえるミカンと緑茶。両者は、相性もいいようです。現在では通年で見かけることも多くなったミカン(温州ミカン)。もちろん夏は夏ミカン、オレンジなどでもOK。また柿にもβクリプトキサンチンが含まれます。緑茶とともにこれらの果物を毎日とり続けましょう。

2011年5月23日 日経ヘルス

豆乳ヨーグルトでも抗がん効果

乳酸菌がNK細胞を活性化…がんを防ぐ食材研究「ヨーグルト」

がんの食事療法の名医、済陽(わたよう)高穂医師(西台クリニック院長/三愛病院医学研究所所長)があげる手っ取り早い“がんを防ぐ食材”として以前、「レモンの搾り汁」を紹介した。今回は続いて「ヨーグルト」の効用を考える。1日最低300グラムを摂取するのがポイントだ。

【抗体の60%が腸管で】

済陽医師自身、毎日リンゴ1個と「飲むヨーグルト」500ミリリットルを昼食にしているという。

ヨーグルトは牛乳に乳酸菌を混ぜて発酵させたもの。健康維持やがん予防に役立つ要となるのは“乳酸菌”だ。

よ く「乳酸菌は腸を元気にさせる」といわれるが、腸の働きが健康にどれほど重要なのか。済陽医師は「腸管の役割は消化・吸収だけでなく、1億個もの神経細胞 があり、全身の免疫を司るリンパ球の60~70%が存在する。抗体全体の60%は腸管で作られているのです」と説明する。

その腸管免疫を正常に保つには、300種類、1兆個以上という腸内細菌の善玉菌と悪玉菌のバランスが重要になる。

【乳酸菌がNK細胞を活性化】

年をとると善玉菌が優勢だった正常な腸内は、次第に善玉菌が減り、悪玉菌が多く繁殖してくる。

すると悪玉菌が作り出す毒素物質の影響によってがんなどさまざまな病気の要因になるのだ。

善玉菌を増やし、悪玉菌を抑え込むには、善玉菌の代表格である乳酸菌をヨーグルトという食品で直接補充するのが最も手っ取り早い。

さらに済陽医師は乳酸菌のがん予防の効能について、「近年の研究で乳酸菌の腸内繁殖と菌体成分の刺激によって免疫の作用物質である『インターフェロン』の生産能力が向上し、がん細胞を攻撃するNK細胞を活性化させることが確認されている」と強調する。

【球菌主体がおススメ】

ちなみに乳酸菌とは単一の菌ではなく、糖質を“エサ”にして、多量の乳酸を作りだす菌の総称。

ひと言でヨーグルトといっても種菌の種類(乳酸菌の構成が違う)によって味や発酵温度で硬さなどが微妙に違う。

済陽医師は「乳酸菌でも細長い形の桿(かん)菌と丸い球菌がある」と、おススメの種菌のヨーグルトをこう話す。

「含まれる体面積当たりの菌数が多くなるので球菌主体の種菌のヨーグルトの方がいい。たとえば、カピス海・ヨーグルト、ブルガリア・ヨーグルト、ケフィア・ヨーグルトなどです」

いまはヨーグルトメーカー(発酵器)も手頃な値段であるので、気にいったヨーグルトがあったら、それを種菌にして自家製で作れば費用も安上がりで食べられる。

また、「牛乳が苦手の人は豆乳ヨーグルトで摂取しても効果は同じ」と済陽医師はアドバイスする。

できることからコツコツと、がんを防ぐ食習慣を身に付けていこう。

2011年5月19日 ZAKZAK

2011年5月20日金曜日

週1時間程度の大腸がん予防

週1時間程度のわずかな運動でも大腸ポリープを予防する

週1時間程度のウォーキング、階段上りなどのわずかな運動であっても、がん) の前駆体である大腸(結腸)ポリープを予防する可能性が、新しい研究によって示され、米シカゴで開催された米国消化器病週間(DDW)で発表された。低強 度のごくわずかと思える活動でも、特に肥満または過体重の人ではリスクが低減し、便益はさまざまな人種集団および体重範囲で認められたという。

これまでこの種の研究は多く行われてきたが、複数の人種集団を対象に運動の影響を検討したものは少ない。米メモリアル・スローン・ケタリングMemorial Sloan-Kettering癌センター(ニューヨーク)のNelson Sanchez博士は、「アフリカ系アメリカ人には大腸癌が多くみられ、今回の被験者でも黒人のポリープおよび腺腫(アデノーマ)の有病率が最も高かった。過体重および肥満の人は大腸癌や大腸ポリープのリスクが高いもう一つの集団である」という。

今回の研究は、異なる人種・民族集団の中年成人ほぼ1,000人を対象としたもので、56.8%がヒスパニック系、20.6%がアジア系、15.2%が黒人、7%が白人であった。大腸癌またはポリープのリスクが高い被験者はいなかった。約3分の2が過体重であり、約半数は週1時間以上運動していた。

大腸内視鏡検査を実施した結果、週1時間以上運動している被験者のポリープのリスクは25.3%、運動がこの閾値に満たなかった被験者では33.2%であった。週1時間の運動は、過体重の被験者と黒人の被験者の腺腫リスクを低減し、黒人被験者では癌リスクも低減した。また、3年以上運動をしている人ではポリープの予防効果がさらに高かった。同氏は「この知見は公衆衛生に大きな影響を及ぼす」と述べている。

なお、今回の知見は学会発表であるため、データおよび結論はピアレビューを受けて医学誌に掲載されるまで予備的なものとみなすべきである。

2011年5月8日 HealthDay News

iPhoneで皮膚がん検査

iPhone対応の携帯型皮膚がん検査機器=独社〔BW〕

皮膚がん診断用イメージング機器大手の独フォトファインダー・システムズは、携帯型皮膚がん検査機器「ハンディースコープ」を発表した。iPhone(アイフォーン)や対応アプリを組み合わせることで、皮膚がんの疑いのあるほくろの顕微鏡写真を撮影・保存し、医師に伝送できる。撮影写真の倍率は最大20倍。今月24~29日にソウルで開催される国際皮膚科学会で展示される。

2011年5月20日 ビジネスワイヤ

2011年5月18日水曜日

転移性乳がんがスイスで承認

エーザイ、「HALAVEN」後期転移性乳がんの適応でスイス連邦医薬品庁から承認取得

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、このたび、当社が創製・開発した新規抗がん剤「HALAVEN(R)」(エリブリンメシル酸塩)が、「アントラサイクリン系、タキサン系およびカペシタビンなどの抗がん剤を含むがん化学療法による前治療歴のある局所進行性・転移性乳がん」患者様に対する単剤療法として、スイス連邦医薬品庁(Swissmedic)より承認を取得した、と発表しました。

当社は、アンメット・メディカル・ニーズの高い後期転移性乳がんに対して「HALAVEN(R)」を少しでも早く患者様にお届けすべく、スイス、シンガポール審査当局に対して211試験(第II相臨床試験)等をもっていち早く申請しました。Swissmedicでは本剤のグローバル第III相臨床試験であるEMBRACE試験(Eisai Metastatic Breast Cancer Study Assessing Treatment of Physician’s Choice vs Eribulin E7389)とともに審査中でした。なお、シンガポールでは2011年2月に承認を取得しています。

当社は、アンメット・メディカル・ニーズの高い後期転移性乳がんに対して「HALAVEN(R)」を少しでも早く患者様にお届けすべく、スイス、シンガポール審査当局に対して211試験(第II相臨床試験)等をもっていち早く申請しました。Swissmedicでは本剤のグローバル第III相臨床試験であるEMBRACE試験(Eisai Metastatic Breast Cancer Study Assessing Treatment of Physician’s
今回のSwissmedicによる「HALAVEN(R)」の承認によってスイスの後期転移性乳がんの患者様がこの革新的な治療薬にアクセスすることが可能となります。乳がんは、世界中で2番目に多く診断されるがんであり、毎年約130万人が罹患しています。スイスでは、乳がん患者様数が5,000人を越え、毎年、約1,400人が乳がんで亡くなられています1),2)。 Choice vs Eribulin E7389)とともに審査中でした。なお、シンガポールでは2011年2月に承認を取得しています。

今回のSwissmedicによる「HALAVEN(R)」の承認によってスイスの後期転移性乳がんの患者様がこの革新的な治療薬にアクセスすることが可能となります。乳がんは、世界中で2番目に多く診断されるがんであり、毎年約130万人が罹患しています。スイスでは、乳がん患者様数が5,000人を越え、毎年、約1,400人が乳がんで亡くなられています。

本剤は、米国(2010年11月)、シンガポール(2011年2月)、欧州(2011年3月)で承認を取得しており、2011年4月には日本でも承認されました。今回の承認は世界で5番目となるほか、本剤は現在、カナダで承認審査中です。

2011年5月17日 プレスリリース

2011年5月17日火曜日

がんにつながる血管を減らす

タンパク質が血管作り制御解明 がんや心筋梗塞治療に


血管の細胞膜にある特定のタンパク質の働きを調節すると、新しい血管の形成を抑えたり促したりできるメカニズムを京都府立医大のチームが解明し、16日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
同大学の松原弘明教授(循環器内科学)は「がんにつながる血管を減らして増殖を抑えるほか、血管形成を促進すれば、血流をよくして心筋梗塞などの治療に活用できる」としている。

チームによると、このタンパク質は「ARIA」と呼ばれ、血管内側の細胞や血管に分化する細胞の細胞膜にあり、細胞の過剰な増殖を抑える酵素「PTEN」を細胞膜に引きつけて結び付く。

2011年5月17日 共同通信

がん血管を減らして増殖を抑える

タンパク質が血管作り制御解明 がんや心筋梗塞治療に

血管の細胞膜にある特定のタンパク質の働きを調節すると、新しい血管の形成を抑えたり促したりできるメカニズムを京都府立医大のチームが解明し、16日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。

同大学の松原弘明教授(循環器内科学)は「がんにつながる血管を減らして増殖を抑えるほか、血管形成を促進すれば、血流をよくして心筋梗塞などの治療に活用できる」としている。

チームによると、このタンパク質は「ARIA」と呼ばれ、血管内側の細胞や血管に分化する細胞の細胞膜にあり、細胞の過剰な増殖を抑える酵素「PTEN」を細胞膜に引きつけて結び付く。

2011年5月17日 共同通信

がんの新たな治療法開発へ

正常細胞が丸のみ破壊…がん治療に期待 神戸大解明

 がんのもとになる異常な細胞を、周囲の正常な細胞が食べて破壊するメカニズムを神戸大大学院医学研究科の井垣達吏特命准教授(遺伝学)らのチームが解明した。がんの新たな治療法開発につながる可能性がある。

 がんのほとんどは臓器の内部を覆う「上皮組織」の細胞で発生する。

 チームがショウジョウバエの幼虫を使って実験した結果、上皮組織で一部の細胞ががんになりかけると、隣の正常な細胞で特定のタンパク質の働きが活発になり、ほかの細胞を食べやすいように形状を変化させていた。その後、異常細胞を生きたまま丸のみして破壊した。

 チームはヒトやイヌなどの培養細胞を使った研究も進めている。井垣特命准教授は「これまではがん細胞を殺す努力をしてきたが、正常な細胞を元気づけ、食べさせる治療法も考えられる」と話している。

 成果は米科学誌デベロップメンタルセルに掲載された。

2011年5月16日 産経新聞

2011年5月10日火曜日

毛髪検査で がん発見

髪の毛でがん検診 スプリング8で実証へ 

 兵庫県とたつの市、ひょうご科学技術協会は本年度から、同県佐用町の大型放射光施設スプリング8を使い、毛髪でがんを検査する新技術の実証事業を始める。スプリング8の放射光で毛髪のカルシウム濃度を調べると、がんの兆候が分かるといい、今月下旬からたつの市民千人程度の毛髪を調べて技術を検証する。この技術が確立すれば、がん検診の大幅な簡素化につながるという。

 県先端科学技術支援センターの千川純一所長(80)=姫路市=の研究成果を基に実施する。千川所長は元日本放射光学会会長でスプリング8の設計にかかわった。結晶構造が専門のため、医師らが実証に協力し、たつの市はPRを担当する。

 カルシウムは細胞内の情報を伝達する役割があり、千川所長はカルシウム濃度とがんとの関連に着目。2002年から研究に取り組み、約50人の患者の分析から、がん発生時には細胞内のカルシウム濃度が高いことが分かったという。

 毛髪は毛根の細胞から成長するため、毛の根から先端までのカルシウム濃度の変化に、細胞内での変化が反映される。スプリング8を使えば微細な変化を測定できるため、濃度が高くなった時期などが分かるという。

 研究を実証するため、07年からたつの市内の企業の協力で、従業員約400人の毛髪を調べた。濃度の高い人は50歳以上で約3割おり、うち1人からがんが見つかった。

 さらに検査対象を広げるため、たつの市の乳がん検診時に毛髪の提供を呼び掛ける。毛髪の分析結果とがん検診の結果を照合。カルシウム濃度とがん発生のメカニズムなどを解明する。千川所長は「毛髪なら体への負担もない。技術が実証できれば、カルシウム濃度が低い人はがん検診が不要になる」と話している。
2011年5月10日 神戸新聞

運動量と乳がんリスク低減

運動すると乳がんリスクが低下- 国立がん研究センター

国立がん研究センターはこのほど、「積極的に運動する女性は、しない人に比べて乳がんになりにくい」とする研究結果を発表した。

研究は1990年と93年に岩手、秋田、茨城、新潟、長野、大阪、高知、長崎、沖縄各府県の10保健所地域に住んでいた40-69歳の女性約5万人について、2007年まで追跡した多目的コホート研究。研究開始時と5年後のアンケートから、仕事のほかに余暇運動を行う機会が「月3日以内」「週1-2日」「週3日以上」の3グループに分け、乳がんの発生率との関連を調べた。平均約14.5年間の追跡期間中、対象者約5万人のうち652人が乳がんになった。

 調査結果によると、「週3日以上」の余暇運動を行うグループは、「月3日以内」のグループに比べ、乳がんリスクが約3割低下することが分かった。さらに、肥満度を示すBMI(体格指数)25以上と25未満に分けて分析すると、BMI25以上のグループでは、「週1日以上」の余暇運動を行う群の乳がんリスクが「月3日以内」のグループより4割近く低くなることが分かった。 一方、仕事や家事などを含む1日当たりの「総身体活動量」には、乳がんリスクとの関連は見られなかった。ただし、閉経後の女性では、「エストロゲン受容体」と「プロゲステロン受容体」が陽性の乳がんについて、余暇運動と総身体活動量共にリスク低下との関連が認められた。

 運動量と乳がんリスクの関連は海外の調査結果で既に報告されており、研究班では「日本人でも、余暇運動に積極的に参加する人は、しない人に比べ、乳がんになりにくいことを裏付けた」と指摘。「特に、閉経後や太り気味の女性は、週1回でも余暇に運動を取り入れることが乳がん予防につながる」とし、生活習慣の改善を訴えている。

2011年5月09日 キャリアブレイン