2011年5月20日金曜日

週1時間程度の大腸がん予防

週1時間程度のわずかな運動でも大腸ポリープを予防する

週1時間程度のウォーキング、階段上りなどのわずかな運動であっても、がん) の前駆体である大腸(結腸)ポリープを予防する可能性が、新しい研究によって示され、米シカゴで開催された米国消化器病週間(DDW)で発表された。低強 度のごくわずかと思える活動でも、特に肥満または過体重の人ではリスクが低減し、便益はさまざまな人種集団および体重範囲で認められたという。

これまでこの種の研究は多く行われてきたが、複数の人種集団を対象に運動の影響を検討したものは少ない。米メモリアル・スローン・ケタリングMemorial Sloan-Kettering癌センター(ニューヨーク)のNelson Sanchez博士は、「アフリカ系アメリカ人には大腸癌が多くみられ、今回の被験者でも黒人のポリープおよび腺腫(アデノーマ)の有病率が最も高かった。過体重および肥満の人は大腸癌や大腸ポリープのリスクが高いもう一つの集団である」という。

今回の研究は、異なる人種・民族集団の中年成人ほぼ1,000人を対象としたもので、56.8%がヒスパニック系、20.6%がアジア系、15.2%が黒人、7%が白人であった。大腸癌またはポリープのリスクが高い被験者はいなかった。約3分の2が過体重であり、約半数は週1時間以上運動していた。

大腸内視鏡検査を実施した結果、週1時間以上運動している被験者のポリープのリスクは25.3%、運動がこの閾値に満たなかった被験者では33.2%であった。週1時間の運動は、過体重の被験者と黒人の被験者の腺腫リスクを低減し、黒人被験者では癌リスクも低減した。また、3年以上運動をしている人ではポリープの予防効果がさらに高かった。同氏は「この知見は公衆衛生に大きな影響を及ぼす」と述べている。

なお、今回の知見は学会発表であるため、データおよび結論はピアレビューを受けて医学誌に掲載されるまで予備的なものとみなすべきである。

2011年5月8日 HealthDay News