2011年3月4日金曜日

転移性乳がん患者の余命延長新薬

エーザイ、新規抗がん剤「HALAVEN」が後期転移性乳がん患者の全生存期間を延長

後期転移性乳がん患者様における「HALAVEN(R)」の主要臨床試験結果がLancet誌に掲載される
-臨床第III相試験でHALAVEN(R)は全生存期間である主要評価項目を達成-

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、当社創製の新規抗がん剤「HALAVEN(R)」(エリブリンメシル酸塩)の主要臨床試験結果が、 医学専門誌「The Lancet」に掲載される、と発表しました(1)。今回同誌に掲載されるのは、グローバル第III相試験 EMBRACE(Eisai Metastatic Breast Cancer Study Assessing Physician’s  Choice vs.Eribulin)試験の結果であり、「HALAVEN(R)」が統計学的有意差をもって、後期転移性乳がん患者様の全生存期間 (Overall Survival:OS)延長を実証したという内容です。掲載される試験の結果は、治験医師選択単剤療法患者様の全生存期間が 10.6ヶ月に対して、「HALAVEN(R)」投与後期転移性乳がん患者様の同中央値は13.1ヶ月であり、23%の中央値改善を示しました。これらの 結果は、後期転移性乳がん患者様に対する「HALAVEN(R)」の生存期間延長におけるベネフィットの可能性を示唆するものです。

「HALAVEN(R)」は、非タキサン系微小管ダイナミクス阻害剤であり、海洋生物クロイソカイメン(Halichondria okadai)から抽 出された天然物ハリコンドリンから誘導された全合成類縁化合物です(2),(3)。すでに米国食品医薬品局、シンガポール保健科学庁より承認を取得してい ます。また、欧州医薬品庁の医薬品委員会より、承認勧告(positive opinion)を受領、日本においては優先審査品目に指定され、スイス、カ ナダとともにそれぞれ審査中です。

「HALAVEN(R)」の最も一般的な副作用(頻度25%以上)は、好中球減少(82%)、貧血 (58%)、無力症/倦怠感(54%)、脱毛(45%)、末梢神経障害(無感覚、手足等のしびれ:35%)、吐き気(35%)、便秘(25%)でした。重 篤な副作用として報告されたのは、好中球減少(発熱を伴う症例:4%、発熱を伴わない症例:2%)でした。また「HALAVEN(R)」投与中止に至った 主な副作用は末梢神経障害(5%)でした。

「The Lancet」は1823年創刊、180年以上の歴史ある英国外科学会発行の医学誌で、世界5大医学雑誌の1つとされています。雑誌名は、手術用メスの一種であるランセット(Lancet)、および鋭尖窓(Lancet window)に因んでいます。

当社は、がん領域を重点領域と位置づけ、「HALAVEN(R)」をはじめとした新規抗がん剤や支持療法に用いられる薬剤の開発に注力しています。これら の取り組みにより、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上に、より一層貢献してまいります。

2011年3月3日 プレスリリース