2011年10月25日火曜日

5ミリのがん組織を見つける

光るブドウ糖でがん細胞探れ


光るブドウ糖を使って細胞の動きを探るという弘前大学大学院医学研究科の山田勝也准教授(脳生理学)の研究が評価され、新たに微少ながん細胞の悪性度を正確に可視化するという実用化に向けた研究段階に入ることになった。がん化する体の組織を細胞単位で見つけ出そうという狙いだ。


 科学技術の振興を進める独立行政法人「科学技術振興機構」が、基礎技術を具体的に実用化するための開発を手助けする「研究成果最適展開支援プログラム(A―STEP)」の実用化挑戦タイプの研究事例として認め、24日に発表した。開発主体は大阪府の試薬品メーカー。ブドウ糖に蛍光分子をくっつけて光るブドウ糖として細胞を可視化できるようにした研究の有用性は、山田准教授が立証してきたもので、メーカーから再委託を受けて実用化を探る。


 山田准教授によると、動物実験で正常な細胞を光るブドウ糖で識別する研究成果を発表したら、ほどなくこの技術を応用して、米国では、体外に取り出したがん細胞を光らせるという研究報告が出され、競争が激化した。


 現在は5ミリ程度のがん組織を見つけるところまで進んでいるが、山田准教授の研究で、細胞ごとに見分けることができる可能性がでてきた。「病巣になる前や再発の有無など、早期発見の時期を格段に早めることに役立つかもしれない」などと話している。


2011年10月25日 朝日新聞