2012年1月23日月曜日

血液がん のワクチン療法が治験開始

白血病にワクチン治療 阪大など年内に臨床研究 国内初

ウイルスに感染し発症すると全身の免疫力が失われて感染症を引き起こす 血液がん「成人T細胞白血病(ATL)」をワクチンで治療する国内初の臨床 研究を、大阪大免疫学フロンティア研究センターと大阪大病院が計画していることが22日、分かった。2月にも学内の倫理審査委員会に申請する。
  白血病の治療法は骨髄移植が有効だが、体の負担が大きいことや、拒絶反応が起きないドナー(提供者)の選定が難しく、大半のATL患者が移植を受けられな いでいる。ワクチン治療が確立されれば、国内に百万人以上、世界中に1千万人以上とされるATL感染者の有効な治療法として期待される。
  同センターの坂口志文(しもん)教授らが計画。坂口教授らは、免疫を担う細胞「T細胞」がウイルスに感染してがん化した場合に、T細胞が作り出すタンパク質を分析。肺がんなど他のがん細胞に共通して存在する3種類のタンパク質を見つけた。
  がん化した細胞は通常、異物と認識されず、免疫細胞の攻撃を受けにくいが、その3種類のうち「NY-ESO-1」というタンパク質を持つ細胞は、正常な免疫細胞に「標的」と認識され攻撃される特性があることに注目。ATL患者から採取した血液にこのタンパク質を加えて培養したところ、正常な免疫細胞が がん 化したT細胞を異物と認識、これらを攻撃するために免疫細胞が活発に増えたことを確認した。
  坂口教授は「NY-ESO-1をワクチンとして注射することで、患者の治療や感染者の発症予防が期待できる」としている。

2012年1月22日 産経新聞